三井不動産

日本全国から545名が集合。地域経済の実践者が集い、そして何が生まれた?

2023.03.31(金) 10:57
日本全国から545名が集合。地域経済の実践者が集い、そして何が生まれた?

2023年3月17日(金)、POTLUCK FES’23 Springが開業間もない東京ミッドタウン八重洲で開催されました。

三井不動産とNewsPicks Re:gionのコラボレーションによる地域経済創発プロジェクト「POTLUCK YAESU」のお披露目となった同イベント。全国各地から集まった総勢545人の参加者で会場は埋め尽くされました。

地域経済創発のプレイヤーを招いて開催された9つのセッションだけでなく、会場内では至るところで参加者同士が会話する様子が見られ、地域経済活性化の機会が創出される1日となりました。

POTLUCK FES’23 Springの様子をダイジェストでご紹介します。

「Pマーク」で埋め尽くされた東京ミッドタウン八重洲の会場

東海道新幹線や東北新幹線など、数々の路線が乗り入れる東京の玄関口とも言える東京駅八重洲口。

会場となったのは八重洲口から目と鼻の先に開業した、東京ミッドタウン八重洲の4F・5Fのイノベーションフィールドです。

イベントが開催されていないときも、POTLUCK YAESUの拠点として地域のプレイヤーが集まるテンポラリーオフィスや交流カフェラウンジ、企画展示ブース、配信スタジオ、イベントスペースが常設されている同エリア。

東京ミッドタウン八重洲の5FではPOTLUCKの企画展示を常設

POTLUCK YAESUの初お披露目となったこの日は、4F・5FのいたるところがPOTLUCKの「Pマーク」で装飾され、全国各地から訪れる参加者の皆さんを迎えるさまざまな催しが準備されました。

開場となる午後12時にはすでに多くの参加者の方が受付に訪れ、テンポラリーオフィスでPCを広げながらセッションの開始を待ったり、参加者同士で親交を深めている姿が多く見られました。

セッション開始前に行われたランチパーティーの様子

実はPOTLUCK FESにご参加いただくにあたって、皆さんにあつかましくもお願いをさせていただいていたことが1つ。それは皆さんの地元の自慢の逸品をPOTLUCK(持ち寄り)していただくということ。

会場内に設置された棚には、徐々に皆さんからPOTLUCKされた各地の名産品が並んでいきます(皆さん、本当にありがとうございます!)。

皆さんのPOTLUCKいただいた逸品。持ち寄っていただいた品は、アフターパーティーで参加者の皆さんといただく予定です。

交流ラウンジでは、「東京駅の“チカバ(近場)”で食や地方のものをより”チカバ“にしてもらう」をテーマにした「東京八重洲チカバキッチン」がフードとドリンクを提供する傍らで、

“にぎりびと”の神谷よしえさんが参加者のためにおにぎりを振る舞います。

日本の食文化をローカルから発信するライスツーリズムを提唱する神谷さん。今回の振る舞われたおにぎりはそんな神谷さんが呼びかけてあつまった各地の厳選されたお米です。

神谷さんの振る舞うおにぎりは大人気で、行列が絶えませんでした。

地域経済の実践者による7つのセッション

「Business Stage」「Social Stage」「配信スタジオでの公開収録」の3つの会場で開催されたトークセッション。

【基調講演】「地域経済創発」のキッカケ〜経済学と地域経済の観点から〜

小島 武仁(経済学者、東京大学大学院経済学研究科教授 東京大学マーケットデザインセンター(UTMD)センター長)

三井不動産の上垣和とNewsPicks Re:gion編集長の呉琢磨による開会の挨拶の後、セッションの冒頭を飾ったのは経済学者の小島武仁さん。

人、モノ、サービスを適材適所で引き合わせる「マッチング理論」を専門とする小島さんは、まずマッチング理論とはどういったものなのか、研修医の人材配属などを例に解説。待機児童問題など、さまざまな地域課題にも応用ができるのだそうです。

その他、地域及び日本全体を俯瞰した視点で社会制度設計や実装に関するさまざまな提言をいただきました。

【Business Stage01】挑戦を後押しできる、地域金融エコシステムは構築できるのか。

左から)古里 圭史(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任准教授、北海道上川郡東川町産業振興ファイナンスアドバイザー)/川本 恭治(城南信用金庫 理事長)/小谷 なみ(READYFOR株式会社 リードキュレーター)/古市 奏文(一般財団法人社会変革推進財団インパクト・カタリスト 兼 FutureOrders代表)

Business Stage01では、地域金融に関わるプレイヤーが一堂に会しました。地域課題の解決のために事業を行うには、言うまでもなく資金が必要になります。しかし、資金が集まらないという理由でそのままになっている課題が地域には山積しています。

本トークセッションでは、相互扶助を目的として運営される信用金庫、クラウドファンディング、ソーシャルインパクト投資など、経済的リターンの追求だけではない、さまざまな地域を活かすための資金確保の方法が語られました。

【Business Stage02】大企業と地域は“共創関係”を結べるのか

左から)長谷川 琢也(Yahoo! JAPAN SDGs 編集長 / FISHERMAN JAPAN Co-Founder / Re:gion Picker)/金田 晃一(NTTデータ サスティナビリティシニアスペシャリスト)/会田 均(沿線まるごと株式会社 取締役 兼 JR東日本八王子支社 地域共創部 地域連携ユニット マネージャー)

ヤフー、NTTデータ、JR東日本という日本を代表する大企業の異端児とも言える3名が登壇したBusiness Stage02。利益を最大化していくというミッションを持ちながら、社会的責任も問われるようになった昨今。

地域への取り組みがはじまったきっかけも、NTTデータのように社会課題の解決に向けた仕組みが整備されている会社もあれば、個人の社員の志から地域への取り組みがはじまったなど、さまざまなようです。さまざまな大企業“あるある”なお話でセッションは大いに盛り上がりました。

【Business Stage03】地域経済の可能性を高められる人材育成とは

左から)呉 琢磨(NewsPicks Re:gion 編集長)/木下 斉(一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス 代表理事)/田村 大(株式会社リ・パブリック 共同代表)

地域の活性化に不可欠である「公民連携」をキーワードに、熱い議論が交わされたBusiness Stage03。そもそも“公”“民”とは何か定義するところからはじまり、それぞれの領域が融合していくための課題や条件などが語られました。

「地域のハイリスクハイリターンな事業こそ人を育てる」「社会課題の解決と事業性を両立することこそ優秀な人間の仕事」「エコシステムができればローカルビジネスも大きく成長する可能性がある」など、地域ビジネスの実践者ならではのビジネスパーソンに向けたメッセージも。

【Social Stage01】地域経済を進化させるために必要な行政のリーダーシップと

左から)内藤 佐和子(徳島市 市長)/東 靖弘(大崎町 町長)/山本 一太(群馬県 知事)/木村 元紀(京都市 都市ブランディングアドバイザー)

木村元紀氏をモデレーターに徳島市市長の内藤佐和子氏、大崎町町長の東靖弘氏、群馬県知事の山本一太氏、話題の行政トップ3名によるトークセッションが開催されたSocial Stage01。

「群馬を“劣化版東京“にはしない」「(知事による)トップセールスが重要」と語る山本氏。女性社長率・管理職率1位の市として女性の活躍およびダイバーシティへの志を強く語る内藤氏。リサイクル率日本一、持続可能な未来な町のあり方を示す東氏。三者三様の行政のあり方が語られました。

【Social Stage02】Well-beingから見る、地域経済創発の活性化

左から)北川 拓也(Centiv 創業者,CEO、Well-being for planet earth財団 共同創設者・理事)/前田 大介(前田薬品工業株式会社 代表取締役社長)/島田 由香(株式会社YeeY 共同創業者/代表取締役、アステリア株式会社 CWO(Chief Well-being Officer))/横石 崇(株式会社アンドコー代表)

社会全体で重要テーマになっている「Well-being」。Social Stage02では、Well-beingを切り口に地域経済の活性化についてセッションが行われました。

「Well-beingは地域経済に貢献できるのか?」という横石崇氏の問いに力強く「Yes!」と答えた島田由香氏。

Well-beingの専門家である北川氏、Well-beingを推進する富山県に本社を置く前田薬品工業の前田大介氏も参加し、「寛容性」「ワーケーション・対話」「もめごとを楽しむ」などWell-beingによる地域経済創発のためのキーワードが語られ。活発な議論が交わされました。

【Social Stage03】社会的共通資本から地域経済の成長を考え直す

左から)福嶋 誠(有限会社きたもっく 代表取締役)/古川 理沙(株式会社そらのまち、株式会社無垢 代表取締役 /NPO法人薩摩リーダーシップフォームSELF 共同代表/NewsPicks Re:gion Picker)/岡野 春樹(一般社団法人長良川カンパニー代表理事 / 一般社団法人Deep Japan Lab代表理事)/工藤 拓真(株式会社BRANDFARM代表取締役社長 / 株式会社dof執行役員 /株式会社YAMAP社外取締役)

社会的共通資本の概念を「資本主義の中でいかに持続可能な豊かさを手に入れるか」と解説したBRANDFARMの工藤拓真氏。

「豊かさと経済合理性は両立するのか?」という問いに対して、きたもっくの福嶋誠氏が「豊かさが何か、マーケットを捉えると商売にもつながる」と語ると、長良川カンパニーの岡野春樹氏が「一人ひとりが自分なりの豊かさを定義することが大切」と加え、そらのまちの古川理沙氏も「豊かなのかは自分の根とつながるがあるかが重要」と同調。

あらためてこれからの地域経済のあるべき姿を見直すヒントが詰まったセッションになりました。

さあ、お待ちかねのPOTLUCKパーティーのスタート!

そして、すべてのセッションが終了すると、最後はPOTLUCKパーティー。皆さんに持ち寄っていただいた各地の名産品がずらり。

皆さんにPOTLUCKいただいた大量の地酒も並び、アフターパーティーは波乱の予感!?

その他、「東京八重洲チカバキッチン」が総力を結集して国産食材にこだわった11品の料理が盛り付けられ、パーティーが開始しました。

目の前に地域の魅力が詰まった名産品や料理があるからこそ、話も弾む。はじめましてのご挨拶をする方、旧交を温める方。皆さん思い思いに楽しい時間を過ごします。

参加者の方には自分の所属している地域の書かれた来場者パスを首から下げていただいているため、「あっ、KANTOとCHUBUがつながっている」「HOKKAIDOの方多いな」など、地域と地域がつながっている様子が目で見て取れます。

POTLUCKいただいた品々に地酒が多かったことも要因になった?のか、時間が進むにつれてどんどんと会場の雰囲気は混沌としていきます。

終了予定時間の9時を過ぎてしばらくして、パーティーは終了へ。

最後はやっぱり全員集合の記念撮影

545人の方にご参加いただいたPOTLUCK FES。北海道から32名、東北から9名、関東から386名、中部から44名、近畿から52名、中国から33名、四国から18名、九州・沖縄から33名と、本当に全国各地からイベントにご参加いただくことができました。

会場の盛り上がりと熱気はすさまじく、これからの地域経済の可能性を感じられるイベントになりました。

このイベントで生まれたアイデアやつながりを参加者の皆さんが地域に持ち帰り、そしてそこで培ったものをまたPOTLUCK YAESUに持ち寄っていだく。そんな場にPOTLUCK YAESUはなっていきたいと思います。

POTLUCK YAESUでは、定期的にPOTLUCK TALKというイベントを開催していくほか、大型イベントになるPOTLUCK FESもまた開催する予定です。

皆さん、これからも是非POTLUCK YAESUの動向にご注目ください。